100分deフェミニズムをみた感想

100分deフェミニズムはめちゃめちゃ面白かったのだけど、いくつか不足している点があるように感じた。

フェミニズムを語るには尺が短すぎた
時間の尺が短か過ぎて1つの話題についての十分な議論がされないまま次に行っている印象だった。普段の100分de名著は1冊の本について25分x4回で解説されているし、去年のお正月の萩尾望都さんの回は扱う人物を一人に絞って本を複数扱うような工夫がされていた。去年はファンの語りとして盛り上がっていたので家族で見やすかったってのもよかった。一方で、今年はフェミニズムといえば...の先生達が集合して(バービーさんはいたにせよ)意見交換をされてるのは見ていて面白かったけれど、この番組を見ているような人はすでに意識が高い人たちであって、正月に家族が集まっている時に無意識にセクハラ・パワハラしている人たちは見ないんだよな...という構成だなと思った。そもそもそういう人向けにこの番組が作られているわけではないのかもしれないけど。(割と絶賛の感想がtwitterに多かったので気を悪くされたらごめんなさい)

②男性が不在の演出はどういう意図があるのか気になった
いつも伊集院光さんが聞き手を務めているが、特番になると消える仕組みになっているのも気になる。いわゆる典型的な一般男性の反応やコメントをしてくれそうな存在がいることではじめて、男性の視聴者が「なるほど」と頷ける場所があったんじゃないかなと。褒めているつもりでも、それは逆に相手を傷つけているような発言であることを理解したり、女性は知ってる当たり前の知識を実は知らなかった!と気付かせたり、そんな役がいてほしかったなと思ったよ。なんとなく、もし、自分が男性で視聴している立場だとしたら、「男ばかり責められてない?」「一緒に解決しようっていう糸口について話してほしいな」って思ったかもしれない。

フェミニズム第4派の説明が雑だなと思った
フェミニズム第4派はMe Too運動から始まりました」という趣旨のアナウンスが流れ、特に、第4波は人種、性別、階級、性的指向性自認などのさまざまなアイデンティティに目を向けて差別をなくしていく動きであるという語りは避けられていた。過去に第4派についての論考を文芸誌に寄稿していた研究者や第4派について詳しい人のtwitterアカウントを見たが、この100分deフェミニズムについてはあまり「面白かった」「素晴らしかった」という反応していなかった。それは、第4派の語りが不十分であることへのガッカリ感もあっただろうし、加えて、第4波は第3派と地続きで男女の二元論の問題も引き続き扱ってはいないわけではないので大きな声で否定する必要もなかったからだと思われる。


あんなにいい回だったのになんで否定ばっかりするんだよという人がいたらごめんなさい。