美術鑑賞の語彙リスト 英語篇(2)

 

コメント

・Something I find slightly creepy about this is that S+V.

    わずかにこれについて奇妙に思うのは、SVという点です。

・It is an extraordinary drawing. 

    素晴らしいドローイングですね。

・I am not sure there is a more intricate and accomplished poem in the literature world.

 文学の世界でこれほど複雑で完成度の高い詩はないだろう。

This is a stunningly beautiful poem.

 これはドキッとするほど美しい詩です。

・I got choked up towards the end.

 私は最後の方で胸が詰まった。

It is the perfect tension of what it is to be really human.

 人間らしさを完璧に表現している。

It is just incredible to see how it has being captured.

   どのように捉えられたかを見ると本当に素晴らしい。

It was fantastic.

   素晴らしかった。

 

人物描写

He is a satirist.

 彼は皮肉屋(風刺家)だ。

・This poet is mischievous.

 この詩人はやんちゃ(お茶目)だ。

 

作品の描写

It is a real flow and movement in the carving. 

 彫刻には本当の流れと動きがある。

 

作品の説明

・It is an astonishing creation made by N.

    Nによって作られた素晴らしい創造物です。

・The narrator in this poem tells us that S + V.

 この詩の語り手は、S+Vと語っている。

It is not designed to convey a personality. It is designed to convey an image of authority.

 これはパーソナリティを伝えるためのものではない。権威のイメージを伝えるためのものだ。

The curator discovered previously hidden details.

 キュレーターはこれまで隠されていた詳細を見つけ出した。

 

その他

・Imagine that you have lost something that is so meaningful to you. 

 自分にとって意味のあるものを失ったと想像してみてください。

This was a warning to the ruling elite.

 これは支配階級のエリートに対する警告だった。

What he mocked most often was pretentiousness.

 彼が最もよく嘲笑していたのは、気取った態度だった。

・There was a sitcom kind of setup. 

 (お笑いの)シットコムのような設定があった。

美術鑑賞の語彙リスト 英語篇(1)

気の利いたコメント

・It is incredibly powerful.

 とてつもなく力強いですねぇ。 

・It is astonishing.

 素晴らしいです。(驚かされます)

・Broken things seem to appeal to me for some reason.

 壊れてしまったものになぜか惹かれます。

・Your senses are overwhelmed.

 感覚が圧倒されます。

 

作品の描写

・It is an unimaginably intricate decoration.

 想像を絶するほど複雑な装飾です。

・It is incredibly intricate.

 信じられないほど複雑です。

・It is fragile. 

 壊れやすいです。

・The colors are incredible.

    色彩が素晴らしいです。

・These are extraordinarily beautiful pages.

 これらは非常に美しいページです。

・They are about as pristine as an object from that period.

 作られた当時と同じ状態です。

 

作品についての説明

・Ironically it was almost certainly made in 〜.

 皮肉なことに、それはほとんど間違いなく〜(場所)で作られました。

・This is made in the period once known as 〜.

 これはかつて〜と呼ばれた時代に作られたものです。

・This is a real technological accomplishment to create that range of colors.

 このような色彩を作り出したのは技術的な偉業です。

・It is portable. You can roll it up and you can display it in several locations.

 持ち運びができます。丸めることもできますし、どこでも飾ることができます。

・three-dimensional clay figure

 3次元の粘土の像

 

時代の説明

・Indigenous people’s ancient visual and verbal cultures still survive.

 先住民の古代の視覚文化や言語文化が今も残っています。

・The written word in any language is still in short supply.

 どの言語でも、文字情報はまだ不足しています。(古代の話)

・It was a highly visual culture when many people were illiterate.

 多くの人々が文字を読めなかった時代に、非常に視覚的な文化でした。

 

 

 

 

全国通訳案内士の合格のために読んだものリスト(独学篇)

こんにちは。いろんな仕事をしながらインバウンド向けの通訳ガイドもやっている河島です。私の専門領域は美術。この研究者が出した本おもしろいよ!とか今この美術館でこれやってますよ!と友人間で情報交換をしながら、楽しく仕事をやっています。

 

最近は、自分でオリジナルの資料を作り、それをお客さんに配付して案内をしています。海外の旅行客がアクセスしやすい環境を整えたりするのが好きなので、地方自治体や観光施設といつか仕事がやりたいです。観光インフラを整えたり仕組みを作るのに興味があります。

 

今までお会いしたお客様の中には、20年以上サンフランシスコの2つの美術館でアートガイドをしている人もいて、本当にいい時間でした〜。自分の好きな分野を絞ると、話が合う人と巡り会えるのでおすすめです!アニメ好き、建築好き、いろんな得意分野で活躍している人が周りにいます。この仕事は楽しいです。

 

試験の話に移ります。

 

2022年の全国通訳案内士の試験に締め切り最終日にギリギリで申し込んで、1回の受験で2023年2月に合格しました。誰かのお役に立てたらと思い、このブログを書いています。

 

受験申し込み時のスキル

・英検1級

美術検定1級

・英語で修士論文を書いたことがある経験あり(英文学)

 

合格のために読んだ本リスト

私は法学書院に頼りました!

法学書院は2023年に廃業したので今は中古本しか出回っていません。

しかし、私は法学書院のシリーズがめちゃくちゃ大好きでした。

法学書院の良かったところ:

・過去の合格者へのインタビューが充実していた。

・過去問がよく整理されていた。解説も詳しかった。

 

基本情報

・通訳案内士をめざす人へ 法学書院 (そもそもどんな試験?)

・全国通訳案内士試験への招待―通訳ガイドになろう!法学書院(合格体験記、勉強方法など)

 

地理

・通訳案内士 地理・歴史・一般常識 過去問解説 法学書院
白地図レーニング帳(小学生が中学受験のときにやるやつ)SAPIX
 忘れているものが蘇ってくるので、おすすめ。大人がやるとすぐ終わる。
・完全制覇 国内旅行地理検定試験 一ツ橋書店(これが解ければ本番で8割は余裕)

・国内観光地理サブノート JTB総合研究所

 

温泉、山河、景勝地に異様に詳しくなります。。

 

歴史

・通訳案内士 地理・歴史・一般常識 過去問解説 法学書院
・高校日本史をざっとおさらいする本を立ち読み

 

通訳案内実務

観光庁の観光白書(時間がない場合はダイジェストのみを読む)

 

一般常識

・新聞、ネットニュースを日頃から追う

・観光関連の法律を暗記

 

読んでない本リスト

・ユーキャンの全国通訳案内士<地理・歴史・一般常識・実務> 速習テキスト&予想模試 第3版【たっぷりの地図・写真でよくわかる!】

・True Japan Schoolのシリーズ(Amazonではよく売れているが、自分には編集方針が合わなかった?ので、立ち読みして気に入ったら読んでください!人それぞれだと思います。)

・ 語研の直前対策シリーズ。英語学習業界ではちょっと有名な金髪ロン毛の植田一三さんが著者です。彼の著書はいつも私にとって詳しすぎるので、今回は最低限を学ぶという観点でパスしました。でもいい本です。

 

二次試験

・PEP英語学校 動画ホーダイ 3000円/月 3-4ヶ月くらい?

    書籍やDVDを何十冊も集めることをやらずに、この動画のみ。

NHK WORLDの料理番組、旅番組 自転車で日本中を回る番組が好き。
「CYCLE AROUND JAPAN」(部屋にいるときはつけてました)

 

気をつけたこと

・過去問をとにかくやる。

・過去問をやって、あまり解けなかった分野の本を読む。

・情報量が多すぎる本、解説が少ない本は避ける。問題は充実しているが、過去問と出題方法が違う形式ならやらない。

 

勉強を始める人、応援してます...!!

    

 

 

 

 

 

フリーランスって何やってんの?という質問に対する答え

フリーランスといっても何をやっているんですか?といろんな人に聞かれますが、

なんでもやります。

 

もちろん、美術館やギャラリーに行ったり、図書館にこもったり...を仕事にできたらいいんですが、それだけじゃ食べていけない。(富豪の娘に生まれたかった。)

 

ここ数年は新規事業の立ち上げやプロジェクトマネージャーを主にやっていました。無から何かを作るのが好きで、それは作家活動をやっている人の作業と似ているのかもしれないです。イメージしたものを形にする、違うと言われたら返しようがないけれど、私は近いと思っています。

 

サービスの種(ネタともいう)になるものを探してきて、どうやったら実現するんだっけ?と歩き回って考えて、自分1人ではできないけど、一緒にやってくれたら早く進みそうだ!って人に協力をお願いして何か作る。形になったら、また別の種を拾ってきて水をやって...の繰り返し。

 

大学生の頃や大学を卒業したてのときは、1人でずっと集中して何かをやるのが好きだったので、(語学の勉強とかまさに1人でやるものだし......)、1人でなんかやる仕事が向いてるなーと思ってたんですが、ほんと最近(ここ5年くらい)になって人と一緒に何かやることも好きだなって気づきました。

 

2017年からスタートアップやVCの人たちと関わるようになり、授業料免除で半年勉強会に行ったりして、テック系の分野にどっぷり入っていきました。AIを用いた英会話アプリの開発をしている会社、機械翻訳の会社、VRARの分野の情報を発信するメディアなどにいて、最近はプロジェクトのマネジメントをやっていました。

 

自分がやりたいこと・好きなことにもっと時間を割けるようにしていきたいなー!と思いつつ、自分が今持ってるスキルを使ってできることもがんばっていこうと思っています。

 

それから、最近は、ミュージアムツアーを自分で企画し、ツアーをやり始めています。昨年10月からスタートして、50人くらいのお客さんに体験してもらいました。

 

主に、教育、観光、アート系の分野で仕事をいただいていますが、自分ができる範囲の通訳、翻訳、ディレクター、プロジェクトマネジメント、そして企画、リサーチ、執筆と幅広くやりますのでよろしくお願いいたします。

 

当方、根暗で楽観的な性格で1日寝ると嫌なことは自動的に忘れます。ブログの更新をもっと増やしたい。今後も、どうぞよろしくお願いします!ブログを最後までお読みいただきありがとうございました。

 

先日仕事で訪れた芦ノ湖

 

 

北陸をチョイスした高校の修学旅行の思い出

高校1年のときに修学旅行で訪れた能登半島のニュースに胸を痛める1月。

 

私の通った高校は自由な校風が取り柄の平凡な高校だったんですが、修学旅行は5つのコースから行きたい場所を選べるシステムでした。私は訪れたことのない能登半島にいけるコースを選びました。当時から好きなこと・興味のあることに邁進するタイプだったので、同クラの友人がみんなスキーや東京ディズニーランドのコースを選んでいたのにも関わらず、能登半島に行きたい一心で希望届けを提出。

 

振り返ってみれば意味不明ですが、部活が一緒だった他のクラスの知り合いに、ねぇ、グループに入れてよ!とずうずうしく入れてもらい、私以外は別のクラスの女の子のメンバーでした。そういうのがあまり気にならないのか、とにかく能登半島に行きたい!の一心でした。

 

あれは雪の降る1月。1日目は熊本空港から小松空港に向かったのですが、強風で飛行機が着陸できないとのアナウンス。いくら空港の上空を旋回しても降りられない。結局、伊丹空港まで引き返すことに。今考えると、旅行代理店の旅程管理者の人は相当大変だっただろうなと察します。私たちは伊丹空港で降りて、バスに乗って北上しました。

 

詳しい旅程は覚えていないけれど、2日目の金沢での自由行動はなくなり、途方に暮れていると、「坐禅のプログラムは続行する」と先生が言うんです。生徒の間からは、「えー!坐禅より自由行動!!!!!」という声が出たのに、生徒の希望は却下されました。

 

青学出身の英語が専門の担任(サザンオールスターズ桑田佳祐のモノマネが上手い)が、化粧やパーマやスカートの長さなどのルールがあってないような自由すぎる校風の私たちに喝を入れたかったのか、「坐禅をさせたい」と息巻いて(?)いらっしゃたのを思い出します。温厚な先生なので、息巻くというほどでもないですが。

 

北陸コースを選択した私たちは、先生の意向でみんなで永平寺へ。女子生徒は、スカートの下に体育服を着て坐禅を組むという異様な格好で参加しました。希望する人は手をあげるとお坊さんが棒で肩を叩いて喝を入れてくれます。

 

坐禅を初めて組んだ思い出は錆びれていないので、行って良かったですね。

 

他の修学旅行のコースと比べると、北陸を選ぶってちょっとマイペースな高校生が多かったかもしれないです。私たちは2日目くらいに和倉温泉に宿泊しました。温泉が入っていたのは北陸コースのみ!温泉地生まれの私は、和倉温泉をめっちゃ楽しみにしていました。海の香りがする温泉。みんなでごちゃごちゃになって露天風呂に飛び込んだのはいい思い出。

 

その和倉温泉も今回の地震で被災していましたが、もう少し時間が経って行ける状態になったら、絶対行きたい!って思ってます。

 

1日でも早い復興を祈っています。

 

 

 

スマホとモニターの買い替え

スマホとモニターを7月末まで働いていた会社に返却することになったので、新調することにした。スマホは2020年のSEの第二世代、モニターは普通のものを使っていた。

 

税金をむちゃくちゃ納めているのに、Appleにも定期的にお金を納めているのは癪に障るので、なるべく最新のものを買わずに2つ古いくらいのものを使っていたのだが、とにかくスマホで何かを撮る機会が多すぎてストレージが一杯になるのと、4Gで満足しているものの少し処理を速くしてみたいという興味、出かけた先で撮ったものをブログに載せることも増えたので、ここは一つ最新のiPhoneを買うか...と珍しく思ったので、注文をした。ついでに、モニターも画像や映像が綺麗に見れるなら...と思い、一番小さいサイズの4Kのモニターを中古で買うことにした。

 

しかし、タイミングが合わず、配達人さんと私はすれ違ってばかりで、待てど暮らせど届かない。


まずはスマホが手に入ると、セッティングがうまくいかない。pasmoの移行が一発でできないのだ。こういうのは感覚的に操作するだけで3分ぐらいで終えたいものだ。2時間ぐらいを溶かし、ようやくセットができた。やったー!できた!と喜んでいると、その新しいスマホツイッターに9月中旬にiPhone15が発売予定と流れてきた。しかも、これまでの高価格を見直すかもしれないと。私が最新のiPhoneを買うというのは珍しかったのに、もう新しいものが出るので「最新のものを持っている私」はわずか2週間。蝉の命ぐらい短い。


破れない靴下が作られないのと同様にストレージが一杯にならないスマホが作られることは一生ない。カメラはどんどん最新になり、買い替えをせかされる。

新しいスマホでの初撮影は自分の膝小僧だった。椅子の上で体育座りをしている自分の膝小僧に焦点を当ててみると、背景がボケた。よくみると膝小僧の輪郭には湯気が立ったようなモヤモヤが見えていて、なんか不自然だな?!と思った。おそらく、手前にあるものを察知してそれ以外をぼやかそうとしているからなのかもしれない。詳しくは専門家に伺いたいところだ。

 

次にモニターがようやく届くと、ネジがついていなかった。確かに、もう一度購入履歴をみるとネジがついていますとも、ついていませんとも言っていない表記でなんかモヤっとしたが、300円くらいでネジを買えば解決できると思い、またAmazonで購入して、届いたネジをつけたらやっとセットできた。

 

やっとセットできたと嬉しくなった私は映画を見ながらこのブログを書いているのだが、どう考えても、モニターがチラつくではないか!ケーブルの買い替えをするためには、またどれが合うのかいちいちリサーチしなくてはならない。型番を調べるためにAmazonを開くと、これと同じものがタイムセールで、新品で安く売られている。最初からこれを買うべきだったんだ。チラつくモニターを眺めながら、返品してタイムセールで買うか、ケーブルを買ってもう一度試すか頭を抱えている。

 

 

ベネズエラとブラジル

7月28日、ベネズエラ人家族を連れて相撲博物館東京都現代美術館に行った。集合時間に数時間も!遅れて来た彼らの言い訳はおもしろすぎたのだが、別の機会に話したい。(ベネズエラはざっくりと面積が日本の2倍、人口は4分の1ほどの国だ)年に数回は飛行機で4-5時間かけてメキシコに遊びにいくよ!と言っていた。

 

先週は久しぶりにブラジル人の友人とも会ったので、自分にとってプチ南米週間だった。そのブラジル人の友人は土木(civil engineering)について大学院で勉強していたのだが、同じ時期に留学していた8割近くの同級生は帰国したと言っていた。日本が好きで働こうとしたが、とにかく働きにくいと。周囲に判断を仰ぎつつ慎重に調整しながら仕事を進める日本のやり方は、いい面もあるかもしれないが、何も決まらない、進まないこともある。その遅々とした時間の流れや日本人コミュニティにいると直面する疎外感に嫌気が差して帰国に至るのかもしれない。

 

それから、日本人の感覚だと気づかなかったのだが、そのブラジル人の友人とベネズエラ人の家族は、どちらも「南米から日本に向かうときにはアメリカを経由しない」と断言していた。飛行機の乗り換えであっても、アメリカでの手続きが相当面倒くさいらしい。だから、外国人にフレンドリーな政策を打ち出している中東を経由して移動をするのだという。こんなふうに個人の旅行に影響するほど、アメリカの政策は南米人には厳しいものなのだろう……。だからといって、自分にはどうすることもできない話なのだが、どうしても無意識に欧米主義になりがちなので、欧米以外の人の話ももっと聞きたいなと思った1週間だった。

 

特に美術や写真文化に関係ない話題ははてなブログにたまーに書いています。

 

2023年7月30日

Everything Everywhere All at Onceと銀河ヒッチハイク・ガイド

「Everything Everywhere All at Once」は2023年にみた映画としてずっと記憶しておきたい作品だと思ったので、ブログを書くことにした。2023年3月11日、日比谷の東宝シネマのレイト・ショーで鑑賞した。(この日は20:00ごろ家に帰ろうとしていたのだけど、20:50からの回が見れるじゃん、持っている本を読んで上映まで時間を潰そう...と考え、完全に思いつきでみることに。とても気になっていた映画だったので、タイミングが合ってよかった)

https://www.themarysue.com/where-to-watch-everything-everywhere-all-at-once/ より画像を引用

「Everything Everywhere All at Once」は、SF映画である前に「納税映画」だった。21世紀の最初の20年が経過してもなお、税金を納める際の手続きの面倒くささは万国共通なんだな...と笑った。今はさまざまな会計ソフトが出ているものの、それでも、納税は大変であることに変わりない。「Everything Everywhere All at Once」は納税者が役場の職員を倒そうとするSF映画、と言ったら浅はかかもしれないが、20字に要約するとそうなるだろう。母娘との物語としても見れるのだが、それを本筋として鑑賞してしまうと後半に「なんでそうなるんだよ」とツッコミたくなってしまうシーンがあり(私にとって)後味が悪くなるので個人的には「納税者が役場の職員を倒したいSF映画」としてみた。


まず、この映画の最初のシーンで驚いたのは数分間の夫婦の会話の中で広東語と英語のスイッチングが頻繁に起きていることだった。この時点で舞台はカリフォルニアなのかな...?と気づく。夫婦間の会話は広東語、子どもと話すときは英語ならスッと入るのだが、なぜ夫婦間の会話なのにわざわざこんなにスイッチングをするの?演出すごいなと思った。(北京語へのスイッチングもあったらしい)(これについて、多言語を意識して創作された「ドライブ・マイ・カー」を意識していると考察している人がいて、考え過ぎだけど、わかる...と思った)また、冒頭の夫婦の会話の中で、中国語にはheやsheという性別によって分ける代名詞は存在しないから、英語は混乱する...って話なんかもするので、ようやく最近theyを使うようになった英語は、私たちの文化より遅れているわ、、なんてことを暗に仄めかしているなぁとも感じた。

 

私がこの映画を見る前に知っていた情報は「マルチバースの映画らしい」この1つのみだったのだが、イギリスのSF作家の故ダグラス・アダムスの「銀河ヒッチハイク・ガイド」の翻案に近いな〜と途中から思い始めた。あの英語圏のカルト的人気のあるSFが中国語圏のアイディアとキャスティングで塗り替えられたのか!って印象を持った。と、同時に「映画が、経済が、すでに大国中国(※1)を中心とした世界に再び戻ろうとしているのか??」とも感じた。ハリウッドは人口が圧倒的に多い中国語圏を意識したキャスティングをしているという話は前々からあったが、この映画を見ると、もうハリウッドのほとんどはチャイニーズ・マネーで回っているのでは?と錯覚しそうになるほどだった。

 

少し話を逸らす。「銀河ヒッチハイク・ガイド」は1500万部以上を売り上げたSF小説なので、ご存じの方も多いかもしれないが、私にとって大学時代に何度も見た思い出の作品だ。最初に映画版を見たのは2008年。映画のDVDをコレクションしているイギリス人の友人宅で見た。その時、最初は「なにこれ???!!!」とよく分からなかったことを覚えている。だって、SF映画といえば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいに頭がモジャモジャの科学者やタイムトラベルする少年が登場したり、「スター・ウォーズ」みたいに最新のロボットが人間と協力して敵に立ち向かったり...そういうものだと思っていた。しかし、「銀河ヒッチハイク・ガイド」はそうじゃなかった。主人公はうだつの上がらない中年男性(※2)で、彼は武器を最後まで持つことはなく(1回くらいあったかな?)、なぜか持たされるのは「使いこんだタオル(※3)」のみ。そして、唯一登場するロボットであるマーヴィン(※4)は、スターウォーズC-3POのように淡々と仕事をこなす感じではなく、ロボットのくせに(くせにというのは失礼かもしれないが)ブツブツと皮肉や不満を述べる厭世的なキャラだ(そこが面白いし、映画ではその点が決定打となり話が展開するのだが)。ぜひ、まだ映画を見ていない方はアマプラに吹き替え版があるので見てほしい。私も見返した。

「Everything Everywhere All at Once」の話に戻るが、この映画の監督は「銀河ヒッチハイク・ガイド」のシリーズを全巻事務所に置いているとインタビューに答えていたので、筋金入りのファンだということがわかる。「銀河ヒッチハイク・ガイド」の中で暗号的に使われる「42」という数字が、「Everything Everywhere All at Once」にも登場することからも大好きなんだな!!!と感じる。主人公が経営するラウンドリーに洗濯物を取りにきた客が持っていた引換券の番号に「42」と書かれていたらしい。私はそれに気づけなかった。悔しい。

 

私が帰宅して「Everything Everywhere All at Once」について書かれた記事を検索していると、いろんな人がこのシーンでダグラス・アダムスの影響を感じた!と思い思いの発言をしていて読んでいて面白かった。私が「これは銀河ヒッチハイク・ガイド」だと最初に思ったのは「手の指がソーセージみたいにブヨブヨで太くなる進化を遂げ、(ブヨブヨで太く進化をしなかった方の)足で日常生活をおこなう人間の世界」がマルチバースの1つとして描かれたシーンが出てきた時だった(なに言ってるか分からない方はぜひ映画を...!見てほしい)。このキャラクターは「銀河ヒッチハイク・ガイド」に出てきそうだな、、、!そう思ったのだ。(※5)「Everything Everywhere All at Once」の中で主人公がいきなり石になったり、手編みのぬいぐるみになったりするのも、まさに影響を受けていてニヤニヤしてしまう。

 

ダグラス・アダムスは40代で亡くなっている作家なのだが、存命だったら70代。もし、彼が生きていて、この映画を見ていたら笑い転げて涙を流しただろうと思う。そんなダグラス・アダムスが好きそうな素敵なコメディSFだった。そして、日本ではこんなSFは出てこないんだよな。もう日本は文化的に沈没して行くんだ、、と映画を見て笑ったあとに悲観的な気持ちになった。

 

※1正しくは香港映画と認識をした方がいいのかもしれないが。

※2のちに映画「ホビット」やBBCドラマ「SHERLOCK」でワトソン役をやるマーティン・フリーマンが主演(大好き!!!)

※3英語圏ダグラス・アダムスファンは異常にこの「タオル」ってキーワードを日常的に固執していて「タオルもった?タオルがあればなんでもできるから!!」とこのSF小説を意識した会話をしていた記憶がある。私のニュージーランド人の友人の弟が日本に遊びに来た時にも「銀河ヒッチハイク・ガイド」のネタを話してすぐに仲良くなれたので、共通の話題で盛り上がれる作品として優れていると思う。

※4英語の音声ではハリーポッターでスネイプ先生役を演じたアラン・リックマン

※5銀河系の大統領となった人物が旅の途中で寄った惑星で5つの上半身と1つの下半身を持つ三つ編みをした日本の女子高生という設定のキャラクターと出会う場面がある。そのシーンにはヘンテコな宇宙人がたくさん出てくるのだが、手の指がソーセージになった人間はこの星にいそうなキャラだな、と思った。

 

2023年3月13日

 

虚無の時間を減らしたい


虚無の時間をなるべく減らしたい。ここでいう虚無とは「こんなことやってる暇があったら別のことをしたい」という気持ちのことを指す。私にとってやりたくないことを減らすのは自分が生活しやすくするためにとても大切なことだ。性質は違うけど、2つのやめたこと(あるいはやめ「たい」こと?)について話す。

 

いきなり、期待外れのふつ〜の話をするが、ペットボトルを決まった曜日に捨てるときに「ラベルを剥がす作業」が本当に好きじゃない。好きな人はいないだろうけど!中に少し残っている飲み物を捨て、ラベルを剥がし、キャップを別にする。夏になると、割と溜まっていてそれを「やだよ〜」と思いながらも誰もやってくれないのでやらなくちゃいけない。その作業が面倒くさすぎて今年からペットボトルを買うのを控えるようになった。紙パック入りのものしか原則買わないようにするとゴミ捨てが楽になった。なんでもっと早く思いつかなかったんだろう。

 

他にやめたことは、おなじみ、twitterを「みすぎる」こと。これは成功しているかわからないけれど、実際、見てない日と見てる日の両方に分かれる。見てないといっても全く見てないわけではなく友達のつぶやきしか見てない日もあるし、単に自分が何か見たり読んだりして「面白かった」「印象に残ったな」「これ誰かと話したいな」と思ってtwitterを記録として使うだけで、タイムラインをみないこともある。後で気になった話題について検索をかけてみることもあるけど、タイムラインをみてないと展覧会やイベントを当日に知ったりするし、見過ごすこともある。みんながめっちゃ話題にしてるけど、知らないことがあるの、本当にtwitterよ〜と悲しくなる。

 

まとまりのない話ができるのが、ブログのいいところなので、こんな感じで生活の話や写真以外の感想を書きます。(今日は仕事が早く終わった)

 

 

 

 

 

 

 

大きい机フェチ

大きな机が好きだ。ここ3年以上は無印の160cm幅のものを使っている。自分の身長と同じくらいの大きさ。無駄なものをどんどん置いてしまうこともあるし、部屋も狭くなるけど大きい机があると何かと仕事や読書が捗った気分になる。東京と熊本の自分の部屋の両方で使っているほどのお気に入り。次の机に迷っている人は、おすすめだよ。

www.muji.com

100分deフェミニズムをみた感想

100分deフェミニズムはめちゃめちゃ面白かったのだけど、いくつか不足している点があるように感じた。

フェミニズムを語るには尺が短すぎた
時間の尺が短か過ぎて1つの話題についての十分な議論がされないまま次に行っている印象だった。普段の100分de名著は1冊の本について25分x4回で解説されているし、去年のお正月の萩尾望都さんの回は扱う人物を一人に絞って本を複数扱うような工夫がされていた。去年はファンの語りとして盛り上がっていたので家族で見やすかったってのもよかった。一方で、今年はフェミニズムといえば...の先生達が集合して(バービーさんはいたにせよ)意見交換をされてるのは見ていて面白かったけれど、この番組を見ているような人はすでに意識が高い人たちであって、正月に家族が集まっている時に無意識にセクハラ・パワハラしている人たちは見ないんだよな...という構成だなと思った。そもそもそういう人向けにこの番組が作られているわけではないのかもしれないけど。(割と絶賛の感想がtwitterに多かったので気を悪くされたらごめんなさい)

②男性が不在の演出はどういう意図があるのか気になった
いつも伊集院光さんが聞き手を務めているが、特番になると消える仕組みになっているのも気になる。いわゆる典型的な一般男性の反応やコメントをしてくれそうな存在がいることではじめて、男性の視聴者が「なるほど」と頷ける場所があったんじゃないかなと。褒めているつもりでも、それは逆に相手を傷つけているような発言であることを理解したり、女性は知ってる当たり前の知識を実は知らなかった!と気付かせたり、そんな役がいてほしかったなと思ったよ。なんとなく、もし、自分が男性で視聴している立場だとしたら、「男ばかり責められてない?」「一緒に解決しようっていう糸口について話してほしいな」って思ったかもしれない。

フェミニズム第4派の説明が雑だなと思った
フェミニズム第4派はMe Too運動から始まりました」という趣旨のアナウンスが流れ、特に、第4波は人種、性別、階級、性的指向性自認などのさまざまなアイデンティティに目を向けて差別をなくしていく動きであるという語りは避けられていた。過去に第4派についての論考を文芸誌に寄稿していた研究者や第4派について詳しい人のtwitterアカウントを見たが、この100分deフェミニズムについてはあまり「面白かった」「素晴らしかった」という反応していなかった。それは、第4派の語りが不十分であることへのガッカリ感もあっただろうし、加えて、第4波は第3派と地続きで男女の二元論の問題も引き続き扱ってはいないわけではないので大きな声で否定する必要もなかったからだと思われる。


あんなにいい回だったのになんで否定ばっかりするんだよという人がいたらごめんなさい。

正月の過ごし方

元旦には、(最近は行ってないけれど)私の家族は福岡の太宰府天満宮筥崎宮、そしてランダムにどこか神社を巡って、博多キャナルシティで映画を一本1000円でみて帰宅するというルートを確立させていた。二日は父の先祖のお墓参りツアー(父の母方は対馬の出身らしい)と父の実家の本屋に挨拶。三日は車で5分くらいの場所にあるシャリの量が多くてネタを厚切りしてくれるお寿司屋さんに寿司の盛り合わせを頼んで、自宅で新年会をする。ビンゴ大会をすると甥がとても喜ぶのでかわいい。

NO!とTOKYO GRAFFITI

私が学生の頃は300円でコンビニで買える地元のファッション雑誌「NO!」というものがあり、巻末には今じゃNGだろうが「美少女図鑑」というものがあった(途中から美男子図鑑も入った)。そこに親戚や同級生が載ると噂になるのが常で、そのカメラマンはドーンと大きな三脚を街中に立てて片っ端から可愛い子に声をかけていた(と、同時にファッションセンスがないと撮ってもらえない)。のちに芸能人になった人の高校生の頃の姿なども見かけることができる。この雑誌は熊本から追い出されて、福岡でのちに販売がスタートするが、今では東京に拠点を移し「TOKYO GRAFFITI」として残っている。

鶴屋

熊本の人はたいてい年末年始に鶴屋にいく。鶴屋というのは地元の百貨店で、東京で言うと新宿の伊勢丹のような存在だ。伊勢丹も以前熊本に店舗を構えていたが、撤退しているし、その後を引き継いだ百貨店も姿を消してしまった。お歳暮やお年始、お中元の贈り物には、鶴屋の包装紙で巻かれたものを渡すと、地元の人たちは「高級感」を感じる。私の家族や親戚の間でもそういう認識だ。全国的に見れば百貨店は潰れる時代になってきているけれど、地元の人たちに愛されるデパート。東京と熊本にしか入っていない知る人ぞ知るマニアックな服やバッグを取り揃えているショップがあるのもいい。相当ファッションが好きなバイヤーがいるんだろうな。

年末年始

晦日紅白歌合戦を見るのが私と祖母の年末の過ごし方(他の家族はお笑いを見ている)なのだが、祖母はずいぶん昔に地元の詩吟大会で優勝したことがあるせいか、歌については一過言あるらしい。2022年の紅白は介護用のベッドで横になりながらの視聴だったのだが「ダンスではなく歌唱力で勝負してほしい」「集団で出てこられたら誰を応援していいのか分からない」と不満げだった。祖母にはハコ推しという文化がないらしい。一時は親戚一同が集まり、もう年は越せないだろうと言われ、「あの世から手紙を書く」と病院で声を振り絞っていた2021年と比較すると、ずいぶん回復して体重も戻りつつある。生命線が尋常じゃなく長いのでまだまだ長生きするんじゃないかな。長生きしてほしい。